放課後等デイサービスを開業するには

放課後等デイサービスとは

平成24年4月に児童福祉法(昭和22年法律等164号)に位置づけられた障がい児を支援するサービスで、その中でも障がいをお持ちの就学児童(小・中・高校生)が学校の授業終了後や夏休みなどの長期休暇中に通う事ができる施設の事を指します。

ただ預かるだけでなく、障がい児の生活能力を向上させ自立を促す事を目的としており、日常介護に追われてなかなか働きに出られなかった保護者が働く時間を確保できるなど、社会貢献度が高いサービスとして注目されています。

放課後等デイサービスの現状

厚生労働省の発表によると、年々障がい者の数は増加傾向にあります。平成11年の全障がい者数約170万人に対し、平成26年では約361万人と15年の間で2倍以上になっており、現在もその推移のまま増え続けている状況です。


特に知的障がいをもった児童の数は、全体が少子化傾向にあるなかで、人口推移が増加しており、2011年時点で約15万2000人だったのが、2016年には21万人を超えるまでに増えています。

現在義務教育で特別支援を受けているお子さんが3%、普通学級の6%に発達障がい児がいると言われています。
一方で、その知的障がい児を預かる施設の数は圧倒的に足りておらず、支える家族の負担も大きいことが課題として挙がってしまうのが現状です。

放課後等デイサービスを開業するにあたって

では実際に、事業者としてサービスを提供するとなったとき、以下4つの基準を満たして認可指定を受ける必要があります。

 1 法人であること

 2 人員に関する基準

 3 設備に関する基準

 4 運営に関する基準

これらの基準は具体的にどういったものなのか、順番に説明をしていきます。

法人であること

放課後等デイサービスを開業するためには、株式会社・合同会社・NPO法人など、いずれかの法人を設立し、「法人格」をもつことが必須です。また、事業目的に介護事業を行うという旨の記載が必要となります。

すでに会社組織である場合は、登記簿謄本に記載されている事業目的に「実施事業」の文言が必要です。文言がなければ、定款・登記簿謄本の事業目的の変更手続きを行ってください。

人員に関する基準

以下の人員を指定する人数、確保しておくことが必要になります。

管理者】

▶︎必要人数:1名

▶︎勤務形態:常勤

▶︎資格要件はなく、ほかの職務との兼務も可能。

【児童発達管理責任者】

▶︎必要人数:事業規模に応じて1名以上

▶︎勤務形態:常勤

▶︎原則(1)と(2)いずれの要件も満たした者

(1)実務経験

 保健・医療・福祉・就労・教育の分野における直接支援・相談支援などの業務における実務経験、障がい児、児童又は障がい者の支援の経験が必須。

(2)研修修了者

・サービス管理責任者研修(児童)

・相談支援従事者研修(講義部分)

これら両研修の修了者。

【児童指導員・保育士 または 障がい福祉サービス経験者】

▶︎必要人数:障がい児の数が10人までの場合、2名以上。

あるいは障がい児の数が10人を超える場合は2人、障がい児の数が10人を超えて5またはその端数を増すごとに、1人を加えた数以上。

▶︎勤務形態:指導員又は保育士のうち、1人以上は常勤

設備に関する基準

設備基準に関しては、以下の要件を満たしている必要があります。

▶︎事業の運営を行うために必要な広さを有する専用区画について

・指導訓練室(指定申請先によって、障がい児1人当たりの床面積が決まっている)

・事務室(職員、設備備品が収容できる広さを確保すること)

・相談室(相談内容が漏れないよう、遮蔽物などを設置して配慮したもの)

・洗面所・トイレ(衛生面の配慮が必要となる)

▶︎設備および器材について

・サービス提供に必要な設備及び備品(指導訓練室には、訓練に必要な機械器具等を完備

すること)

・手指洗浄、感染症予防のための設備及び備品

運営に関する基準

施設運営に関しては、以下のような基準が定められています。

▶︎利用定員が10名以上であること

主となる障害が重症心身障がいである場合は5名以上となります。


▶︎放課後等デイサービス計画が作成されていること

子どもの発達過程や特性を十分理解した上で、個別の状況に応じた放課後等デイサービス計画を行う必要があります。また、この計画は、学校における個別の教育支援計画との連動が求められます。


▶︎サービス内容や手続きの説明と同意

設置者・管理者は、子どもや保護者がサービスを円滑に利用するための説明を行い、それに対する同意を受けると同時に、必要な支援を行う責務があります。

▶︎サービス利用者の指導、訓練等の実施

子どもの発達に必要な生活習慣、自立支援の訓練を実施します。子どもが積極的に参加できるプログラムを実施し、成功体験を積むことで自己肯定感を高めさせることが目的です。

▶︎利用者・家族からの相談や援助

保護者に対して、子どもの発達状況や課題について共有し、共通の認識をもっておくことが必要です。その上で、保護者から相談があった場合は適切な助言や支援を行うようにします。


▶︎利用者管理台帳の準備

一人ひとりの子どもについて、具体的な日々の記録を残し、管理者等が状況を把握しやすくします。


▶︎利用者の病状急変時等における緊急体制の整備

近隣の協力医療機関を定め、急な事態に備えておきます。

初期費用と開業のメリット

上記の基準を満たすことができて、ようやく開業の手続きが進められます。

放課後等デイサービスにはどういった特徴があるのかや、施設の現状を以下にまとめました。

■小資本で始められる。

他の店舗ビジネスなどであれば初期費用で1000万円を越えるのが普通ですが、放課後等デイサービスの場合、遊具や家具などの小資本から始められます。

開業においても、福祉事業の場合は国からの融資などが仕組みとして、整っていますので、サポートを活用しやすいという利点もあります。

■必ずしもオーナーが福祉の有資格者である必要はない。

人員に関する基準に示したとおり、放課後等デイサービスの開業は、福祉に関する有資格者でなければ始められないと思われがちですが、施設のオーナーであれば介護資格などは特に必要ありません。

障がい児に対する直接的なサポートは福祉のプロである有資格者に専任してもらいオーナーは障がい児が自立ができる仕組み作りや、スタッフが働きやすい環境作りを考えるなど、施設経営に専念する事ができます。

■知的障害者の数に対し、受け入れる体制が追いついていない。

先ほども少し触れましたが、年々知的障がい児の数は増加傾向にあるにも関わらずその障がい児たちを受け入れる施設が足りていないのが現状です。

国もこの問題に対し、助成金や補助を導入するなどあらゆる施策を講じており、社会貢献性も高い事もあって、これから参入される事業者が増えて来る事が予測されています。

まとめ

いかがでしたか?

放課後等デイサービスは社会貢献度も高く、6歳〜18歳と、長期間にわたって子どもの発達支援に携わることができます。

さまざまな基準があり、大変な印象を受けられたかもしれませんが、開業については特別な資格を保有していなくてもできることですので、人員の確保と基本的な知識を備えることができれば、比較的早く開業に至ることができるのもポイントです。

地域に根差し、子どもたちの自立を身近で見守り、サポートできる放課後等デイサービス。地域貢献や福祉に興味がある方にはぜひおすすめしたい事業です。

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