なぜ、障がい者人口は年々増加しているのか

現在、日本での障がい者人口は、年々増加傾向がみられます。

令和元年度の内閣府による調査では、身体障がい者は約436万人、知的障がい者は約108万2千人、そして精神障がい者は約419万3千人といわれています。すなわち、国民のおよそ7.6%が何らかの障がいを有しているという調査結果が出ているのです。

さらにこの数値は、2014年の推計に比べて175万6千人、2018年の統計に比べて26万9千人 増加していることがわかりました。

※参照元 内閣府:「障害者白書」https://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/r01hakusho/zenbun/pdf/ref2.pdf

一体、なぜこんなにも障がい者人口が増加傾向にあるのでしょうか?今回はその理由を探り、そこから読み取れる「これからの社会のあり方」について、お話ししていきます。

高齢化にともなう障がい者数の増加

少子高齢化により、日本の全人口における高齢者の割合は上がっています。高齢になると必然的に身体機能は低下し、身体の不自由を訴える方は多くなります。また、重度の認知症をきたすと、精神障害が認められるケースもあります。

2019年9月15日時点での統計データによると、65歳以上の高齢者人口は、3588万人で過去最多、高齢者が総人口に占める割合は28.4%で過去最高の数値が示されました。

参照 https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1211.html

上図をみると、今後さらに高齢者人口の割合は増加すると見込まれています。高齢者数と障がい者数の増加は比例しているため、障がい者の比率も必然的に上がっていくことが予想されます。

少子高齢化社会の影響は少なからず、障がい者数の増加の要因の一つだと考えられているのです。

現代の環境要因に、障がいを引き起こす恐れが

最近の研究によると、発達障害は、遺伝によるものに加え、環境要因が関係しているとされています。遺伝的に発達障がいの素質をもった人はどの時代であっても一定割合存在している中、育った環境によってその後の症状の強さや、障がいの発症を左右する可能性があると考えられているのです。

元々遺伝性が強ければ、環境要因に関係なく障がいの診断がつくケースもありますが、比較的弱い素質をもつ人の場合、育った環境によって障がいの診断の必要可否が左右される可能性があります。

現時点ではまだ確実な根拠は示されていませんが、環境要因としては

 ・昨今のメディア視聴(TV、ネット、スマホ等)の多さ

 ・睡眠の不整

 ・化学物質の暴露

 ・周囲の無理解によるストレス


といったものが挙げられており、これらが発達障がいの傾向を強める因子ではないかと研究されています。

昔とは異なる社会背景が、発達障がいの増加を引き起こす原因になっているのかもしれません。

「障がい」に対する認識が広まった

もっとも注目すべきなのが、「障がい」に対して社会全体の認識が高まったことです。

中でも「発達障がい」に関しては、今まで世間的に認識されづらいものでした。

何度注意しても授業中に歩き回る生徒や、片付けができない人、じっくり議論をしたいのに話題をコロコロと変えてしまう人など、今までの人生の中でもそういった人に出会ったことはあるのではないでしょうか?あるいは自分自身に当てはまるといった方もいらっしゃるかもしれません。

今まではそういった人のことを、「変わっている人」「空気が読めない人」などとして接してしまう環境があったのですが、本当はこのような特徴のある人の中には「発達障害」が隠れているケースがあるということが、ここ数年でようやく社会に浸透してくるようになりました。

こういった社会全体の動きが、障がいに対するハードルを下げ、障がいをより身近なものとしてとらえるきっかけにつながったのです。そして、医療機関で障がいに関する相談をする人が増え、結果として障がい者数の増加という形で現れたと推測することができます。

単に「障がい者数が増加している」と聞くと、どうしてもマイナスな要因を思い浮かべてしまいがちですが、障がい者数が増加しているということは、それと同時に、障がいに対して正しく向き合っている人が増えているということに繋がっているのかもしれません。

障がいを受け入れ、認め合う社会へ

障がいに対する認識が広まった今だからこそ、誰しもが生きやすいバリアフリーな社会を実現するために何ができるのか、考えてみましょう。

バリアフリー社会に向けた行動は、どんな小さなことからでも、あるいはどなたでも参加できるものばかりです。

例えば、

 ・優先座席は率先して譲る

 ・公共施設の多目的トイレはできるだけ使用を避ける

 ・片付けが苦手な人、落ち着きのない人に対して、人間性を責めるような言動を避ける

 ・発達障がいが疑われる人が身近で悩んでいれば、医療機関への受診を勧める・付き添う

など、少し周りに気を配れば、どれでも簡単に実践できることです。ほかにもバリアフリー化に向けて実践できることは数え切れないほどあるはずです。

障がいは他人事ではありません。特に身体的障がいに関しては、いつ誰の身に降りかかるかわからないものです。他人を思いやる気持ちと行動が、住みやすい環境づくりへの大きな第一歩となります。

単に社会インフラを整えるような作業だけではなく、まずは一人ひとりが無理のない範囲で、できることから意識して実践していくことが、バリアフリー社会の実現に向けて一番重要なポイントなのかもしれないですね。

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